わくわく計算ライフ

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アセットアロケーションと現金保有額について

資産運用を安定して続けるには、アセットアロケーションが大事だなということで、今回はアセットアロケーションについて整理してみました。

1. そもそもアセットアロケーションって

資産の配分のことを指します。
例えば、総資産100万円のうち30万円が現金で、残り70万円株式だった場合。
現金30%, 株式70%の配分といった割合です。
現金しか持っていない人は、現金100%の資産配分ということになります。
中長期にわたって安定した資産形成をするにはこのアセットアロケーションを意識することでぶれずに運用する助けとなります。

2. アセットアロケーションとリスク許容度

アセットアロケーションを決定するにはどれだけリスクを許容できるか(リスク許容度)を決める必要があります。
例えば、株式は以下のようなリスク/リターンがあると仮定しましょう

  • 暴落時には50%ぐらいまで下がる
  • 長期的には年率平均5%程度増えていく

先ほどの例で仮に急に50万円必要になったとします。
すると現金は30万円しかないので、不足分の20万円を株式を売却して作る必要が出るわけです。
この時が-50%の暴落の時と重なった場合は、いずれは戻るはずの株式を安い価格で売らなければならなくなってしまい損をしてしまいます。

逆に現金:株式が50%:50%であれば、この場合は現金50万円があるので暴落時にも株式に手を付ける必要が無く、長期的には利益を享受できるわけです。
ただし、1年で平均的に得られる利益は 50 / 70 \fallingdotseq 0.7 となるため、リスクが下がった分リターンが70%程度まで下落してしまいます。
当たり前ですが、リスクとリターンはこのようにトレードオフの関係になります。

3. なぜ割合で考えるのか

「普段の生活レベルを変えなければ、必要な金額の現金を確保していればそれ以上はすべて投資に回しても良いのでは?」と考える人もいるかと思います。
しかし、実際には現金の保有量は金額ではなく割合で考えることが多いです。
これは、暴落時に値下がりした金融商品(先ほどの例では株式)を購入する余力持つためです。
あと、お金増えたら少しは良い生活にしたいよねという気持ちも0ではないので。

資産配分の割合を一定に保つようにすることで、比較的簡単な判断で、安定した資産形成戦略をとることができます。

4. リバランス

保有資産の価格が大きく変動した場合、もともと決めていたバランスから資産バランスが崩れます。
これを、資産の売買等を行うことで元の比率に戻すことをリバランスと言います。

4.1. リバランスの効果

例えば、現金と株式を半々(50万 + 50万)で買っていて、株式が半分になったとします。
すると全体は50万 + 25万 = 75万円となるので、半々にするにはそれぞれ37.5万円にする必要があります。
この時の処理は12.5万円分の現金で株を買うということになります。
この後株が元に戻った場合は
37.5万 + 2 x 37.5万 = 112.5万円 となり、資産が増えます。

逆に株式が急騰して倍になったとしましょう
50万 + 100万 = 150万
現金 : 株式を半々にするので、75万円ずつにします。
株式を25万円分売却して現金を得ましょう。
この後、株価が元に戻ったとします。 75万 + 0.5 x 75万 = 112.5万円
とやはり、もともとの100万円よりは増えています。

このように、資産の割合を一定に保つという手元の資産の金額という情報だけでも、自然と値上がりした資産を売却し割安な資産を買うということができるようになります。
金融商品の相場が今高いのか安いのかはその時はわかりません、しかしアセットアロケーションを保つ操作するだけでも100点は取れなくとも安定して60点、70点程度の成績を出せます。

4.2. ノーセルリバランス

保有資産の価格以外で収入がある場合は、金融資産を売らずにリバランスを行う方法としてノーセルリバランスがあります。
現金と株式を50%ずつの割合で所有している場合、毎月の余剰資金をこれと同じ割合で積み立てていけば、バランスは変わりません。
初期状態として現金50万、株式50万の状態で毎月10万円の余剰資金を5万 + 5万で積み立てているケースを考えます。
ここで、株価が10万あがって、現金 : 株式が50万 : 60万となったとします。
ここで、毎月の積立金額を6万 : 4万と株式の積立金額を下げてやることで、2万ずつ差がうまっていき5ヶ月後には50%:50%になるはずです。
逆に株価が下がった場合は一時的に株式の購入比率を上げてやります。
目標とする比率に近づいた時点で再び元の購入比率の50%:50%に戻します。

こうすることで、毎月収入などから積み立てている場合、本来のリバランスに必要な売却分を積み立て購入している資産の量の上限で調整することで無駄な売買を減らし手数料を節約することができます。
また、NISAを利用している場合は一度売ってしまうとその枠は戻らないため、なるべく売りたくないので節税としても意味があります。

また、積み立て時の金額を調整して半年から1年ぐらいで調整することで極端な高値や安値での売買を避けてマイルドに調整が可能です。
もちろん、極端な株価高騰があった場合は株式の積立を減らしたり停止したりするだけでは足りずに売却もあり得るでしょう。その場合も購入しながら売却とはならないはずなので無駄は少ないはずです。

5. アセットアロケーションの比率の決め方

これまでの話で

が分かったと思います。
しかし「じゃぁそもそもの比率はどう決めたらいいの?」というのが疑問として残るので、今回は私の決め方を紹介します。
前提として生きていくのに持っていた方が良い現金の絶対量はあまり変わらないとすると、資産総額が低いうちは自然と現金比率が多めになり、資産が増えるごとに現金比率はある程度まで下がっていくというイメージを持ってください。
また、私はシンプルに運用したいので、現金と株式の投資信託の2種類しか主に資産を持っていないのでこの2つの資産の比率で考えます。
(資産総額が増えてきたらリターンは少ないがリスクの低い債券とかも買う予定ですが。まだね)

現時点の資産総額を k、現金の保有比率を  a (0 \le a \le1) とします。(すると株式保有比率は (1 - a)ですね。)
暴落時に株価が現在の価格を1とした場合に d (0 < d < 1) まで下がると想定すると、暴落後の資産総額は k((1-a)d + a)、現金比率が aになるようにリバランスした後の現金は

 ak((1-a)d + a)

となります。調整後の生活防衛資金(残しておく現金)を mとすると

 ak((1-a)d + a) = m

となり、現在の資金 k、暴落時に株価がどこまで下がるか d、リバランス後に残したい現金 mから、現時点での目標現金比率 aを決めることができます。
 aについて整理すると

 {a}^2 + \frac{d}{1-d}a = \frac{m}{k(1-d)}

 {(a + \frac{d}{2(1-d)})}^2 = \frac{m}{k(1-d)} + {(\frac{d}{2(1-d)})}^2

 a + \frac{d}{2(1-d)} = \sqrt{\frac{m}{k(1-d)} + {(\frac{d}{2(1-d)})}^2}

 a = \sqrt{\frac{m}{k(1-d)} + {(\frac{d}{2(1-d)})}^2} - \frac{d}{2(1-d)} \tag{1}

生活防衛資金 mを余裕を見て、月20万円 x 12か月分 = 240万円、現在の総資産 kを500万円、暴落時に株価が現在の d = 0.5倍まで下がるとすると。
上式に代入しておよそ a \fallingdotseq 0.6となります。
よって、この条件の人は当面は現金60%、株式40%程度の割合で資産を持ち、積み立てを続けると良いということになります。
また、式(1)を見ると、分母に k、分子に mがあることから、総資産が増えていけば行くほど現金比率は下げて良く(=リスクをとれる量が増える)、また想定する生活防衛資金額を増やすほどに現金比率は上げる必要があることが分かります。
基本的に想定する株式暴落の割合 dはそれほど変わらないので、資産運用をするうちに、定期的に現在の資産総額と生活費を確認し、現金保有比率 aを調整していくことで無理なく無駄なく資産運用ができるようになるはずです。

あ、一応今回の式(1)の計算用シート置いておきますんで、使いたい人はコピーして使用してください。

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