わくわく計算ライフ

ドムプラをキメつづけるブログになりつつある。

【書籍レビュー】失敗の科学

自分でも読むが、デスクに置いておいて上司にプレッシャーをかけるために実本を買うことがあります。
今回はそんな一冊を

「失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織」
組織が旧態然としてなかなか変わってくれない!新しいことに取り組みづらい!
ということは良くあると思います。特に老舗であればなおさら…。
そんな悩みにヒントが得られるか...?!

1. 基本情報

項目 内容 説明
出版社 株式会社ディスカバートゥエンティワン すまん、全然知らん。
初刷日時 2016/12/25 手元の本は2022年1/20で第11刷。なかなかロングセラーなのでは。
ページ数 342 後述しますがエッセンスを掴むだけなら結構軽く読めます。

2. 購入動機

組織の仕組みを新しく改善したい!と常々思っているわけですが、ぶっちゃけ変えないのが短期的には楽なので抵抗にあうのが世の常。
この問題に風穴を空けるヒントを得るべく、そしてあわよくばデスクの見えるところにおいて上層部にプレッシャーをかけれたらラッキーということで実本購入しました。

3. 書籍概要

過去の様々な事例を挙げながら、組織がなぜ失敗をうまく取り扱い学びを得ることが出来ないか、できている組織が何が違うかについて紐解いていきます。

3.1. 豊富過ぎる事例

本書は各章ごとにたっぷりの事例、エピソードを踏まえて説明がされています。
ただ、エピソードが長すぎる上に、途中の箸休めみたいなポイントに重要なまとめが置いてあるケースが多く、読み返す際の一覧性に若干難があります。

各章のタイトルは「『単純化の罠』から脱出せよ」の様に若干煽っている感がありますが要点は抑えています。
また、終章に関してはこれまでの内容と効果的な対処法がまとめられており、終章と目次を見ながら興味があるページを読んでいくような読み方が良いと思いました。

扱っている内容についてはなるほどと感じるものが多いです。

3.2. 取り扱っている組織例が秀逸

医療や航空業界の様に、組織がそれなりに大きくかつ、失敗に対する取り組みがクリティカルな組織を中心に話が進められており説得力があります。
また、極端ではありますが失敗から学ぶ改善例としてホットドッグの大食いの例もあり、本書で提案する手法がジャンルを問わない広さもありそうだということは感じられます。
巻末の参考文献(脚注と混ざっているのが微妙ではあるが)量も十分だと思います。

3.3. 解決策についてはあまり体系立っていない

どちらかというとサブタイトルにあるように、失敗から学べる組織、学べない組織の特徴の比較が主で、どうしたら学べる組織になるかの具体的な手順については余り示されていません。
ただし、近年用いられている有効な手法のキーワード(例えばリーン・スタートアップなど)は拾えるため、ここから他の本に飛び立つといった使い方は出来ると思います。
ただ、いかんせん2016年発売で今(2022年)となっては6年前なのでもう少し新しい本も読んでこっち方面の知識は入れた方が良いかなと思いました。

「じゃぁこれから改善するぞ!」というにはもう2,3冊読む必要がありそうです。

4. どんな人に向いている?

出版年の問題で少し古くはありますが、組織の改善に興味がある方なら入口としては悪くない本だなと思いました。
ただ、前述のとおり大切な要素が長いエピソードの中に紛れているので、ある程度読書慣れしている方に向いていると思います。

逆に、勉強不足の人にプレッシャーをかけるために置いておくのには向かなそうでした。
そういう人たちには読んで明快にスッと入るタイプの本の方が良いので…その点は残念(といっても私の勝手な期待にたいしてはという話ですが)。